2019/01/27

グレアムの『賢明なる投資家』を読む:まえがき ―本書の目的


「本書が対象としているのは投資家(investor)であって、投機家(speculator)ではない。」(p.18)

 何をするにも最初に必要なのは、はっきりした定義です。言葉の意味が明確でないと、気付かないうちに目標からそれてしまいます。グレアムはここで、投資と投機の境目とは本質的に曖昧である事と、相場の動きによってその境目を人々が変えてきた実例を挙げています。

 今の日本市場で言うならETFと米国株でしょう。いずれも仕組みとしては良い投資対象でした。しかしそれらが2013年以降の上昇相場で多くの人に認められて価格が上昇した事で、投資の魅力は確実に低下しました(無くなったかどうかは相場次第なので何とも言えませんが…)。

 さらに2017年頃から一部非上場投信の手数料がETFを下回り始めました。流動性リスクと配当再投資の二重課税が元々ない上に手数料まで安いとなれば、今後は逆に非上場投信の方が有利です。対照的に近年のETFは乱立状態で、高い信託報酬や低い流動性という問題を抱えた銘柄が多くなっています(流動性が低いと、見えない売り買いコストが増大します)。読者の皆さんには目安として、時価総額が1,000億円未満、又は信託報酬が0.3%以上のETFは避ける事をお勧めします。


引用は 『賢明なる投資家』より 前後1行開けの「」で示した


















2019/01/16

『若者奴隷時代』 アップデート2017



国立社会保障・人口問題研究所
http://www.ipss.go.jp/ss-cost/j/fsss-h27/fsss_h27.asp

のデータより作成。

単位:%






1970年から徐々に増加してきた社会保障給付費は、2010年頃をピークに横ばいになりました。ただし、増加しなくなっただけで、減少はしていません。依然として過去最高水準です。大部分は高齢者の医療費と年金です。

参考までに、マンガ『若者奴隷時代』の初版発行は2010年です。