2019/08/16

株式投資初心者向け教材  市場変動と株式ポジション



ネットロング(投資資金に占める株式の割合)は原則50%で一定に
 最高の利益を得られない事は確実ですが、これ以上に現実的な手法は中々ありません。株価は上がる保証も下がる保証もありません。いま高くてもさらに高くなるかも知れません。いま安くてもさらに安くなるかも知れません。
 ネットロングを変更するのはなぜでしょうか。それは相場に対してあなたが何らかの見解をもち、反映したいと思うからです。それは投機です。予知できない未来の株価を予知しようとする、あるいは予知できると思い込む事だからです。それは大抵逆に働きます。株価が上昇して期待利回りが低下すると人は本能的にネットロングを増やしたくなる(逆も同様)からです。機械的にネットロングを一定にする事でそのような本能から自分を守る事が出来るのです(即ち上がれば上がった分を機械的に売り、下がれば下がった分を機械的に買う)。

その50%をいつ建てるのか
 安くなるまで買わないのもだめです。安くなる保証はなく、配当収入を逸し、投資機会を逃すからです。しかし機会損失を恐れて一気に買うと往々にして高値掴みになります。永久のジレンマです。
 少しずつ買うしか無いと思います。まずネットロング0を禁止します(常に少しは株を持つのです)。次に買い建てのペースを考えます。絶対の正解はありませんが、例えば月2%ですと約2年で50%に到達します。2年は時間分散としては不十分ですが、機会費用を考慮すると悪く無いかも知れません。
 白状しておきますと私自身は一定ペースで買えませんでした。怖かったのです。その反省からアドバイスしています。主観に基づいてポジションを上下させる事は株価予想に資金を賭ける事であり、投機的です。当初から機械的に買い付けをしていればもう少し良い成績でした。
 飛行機は離陸と着陸のわずかな時間が飛び抜けて危険です。最初のポジション作りはそんな期間です。出力、速度、風向き、舵角を慎重に確かめつつ、少しずつ確実に高度を上げていくべきなのです。

50%でないと駄目なのか
50%で無くても良いでしょう。ポイントは一定を保つ事です。一定を保つからこそ、高値で売って安値で買うという行動(人間の本能と逆の行動)が出来るのです。現在の日本のように極端に債券利回りが低く、株式利回りが相対的に高い状態では株75%も有りでしょう。ただしそう考え、選ぶという事自体が投機性をはらむ事ですから、十分に調べて考えた上で数年は変更不要であるという、定量的情報に基づく腹の底からの確信が必要でしょう(株25%にしたい場合も同様。例えば1972年の米国では優良長期債の利回りが株式の配当利回りはおろか、益回りすら超えていました!)。

買付対象とすべき銘柄(以下を原則半々に)
TOPIX連動型投資信託(東証コード1348など)
MSCIコクサイ指数連動型投資信託(為替ヘッジなし)(東証コード1550など)
以上




















2019/07/23

r と g について

考察する命題

「 r = 資本収益率 g = 経済成長率 としたとき、g < r となる点が問題である。」


考察

『21世紀の資本』を未読なので、立ち読みとウィキで分かる範囲のみ、疑問点を整理します。

1:所得の格差を無くすために全世界的規模での課税を提唱しているそうだが、そのためには全世界的規模で個人の所得を監視し、税を徴収する強権を持つ機関の存在が必要になる。このような機関の存在は危険ではないか。

2:g < r が性質であると認識したなら、それ自体を無理に変えようとするは危険ではないか。性質自体をいじるのではなく、社会保障を市場の外部から挿入する方が効果的ではないか。例えば水害。水が地面から空に流れるように水の性質を変えようと試みるよりも、ダムを作ったり被災者に一律の金銭給付をする方が良くはないか。

3:資本の公平な配分を目的にすると、効率的な資源配分が出来なくなるのではないか

以上














2019/04/07

社会福祉の逆進性 新手の共産主義 第1章

まえがき

公営社会福祉は共産主義であり、共産主義は全体主義です。

かつて全体主義国家は市民を逮捕殺害し、世界大戦まで引き起こしました。21世紀の福祉国家は一見正反対の存在ですが、実はとても危険な方向に進んでいます。このまま20年もしたら我が国は実質的に恐怖の全体主義国家となるでしょう。

私は共産主義者の家庭に生まれ洗脳されていました。若者や子供たちの未来の為に警告せずには居られません。


第1章 ある青年

正反対のふたり
  ある栃木県の農村。高校の同級生だったA君とB君は地元の同じ工場に就職し、月給は20万円。そこから5万円の税金が天引きされ、15万円が手取りでした。倹約家のA君は実家に毎月4万円を入れ、小遣いは1万円。6畳間で寝起きし、外食は滅多にせず、酒もタバコもやらず、昼食はファミマのおにぎり2個セットと豆乳で300円。学生時代の貯金で買った12年落ちのアルトで通勤。こうして毎月10万円を貯金しました。

 一方のB君は楽天家。15万円の手取りは1円残らず使いました。家賃5万円の2LDKに一人で住み、料理が面倒なので毎週何度も外食。愛車はローンで買った新車のハチロク(赤)で、飲み会にも良く参加して運転代行で帰りました。

 そうして2年半ほど働き続けたある日ついに大恐慌が再来しました。6か月後そのあおりでA君とB君の会社も倒産し、就職からちょうど3年で二人は失業します。

 失業保険は毎月10万円。A君の貯金は毎月5万円に減りました。B君は毎月5万円の節約が必要になりました。今回の不況は失業率が20%を超える未曽有の規模。二人とも全く仕事にありつけず1年が経過しました。

 失業保険が停止して困り果てたB君は生活保護を申請。審査の結果毎月10万円の支給と税金の免除(国税、地方税、医療保険税、年金保険税)が決定しました。B君の話を聞いてA君も生活保護を申請しました。会社も給料も失業した日も全く同じ二人ですから当然A君にも生活保護を受ける権利が有るでしょう…


勤勉への罰
 A君は頭が混乱していました。何かがおかしいのは確かなのですが、何がどうおかしいのか言い表せず、イライラしました。A君に保護費は出ませんでした。預貯金が有る事が理由でした。自宅の屋根無し駐車場に停めたアルトの中で向かいのアパートの赤いハチロク(農村なので所有継続が認められた)を見つめていました。

 A君はこれからの事を考えました。「来月以降は毎月5万円を貯金から取り崩さなくてはならない。5万円のうち4万円を実家に入れて、1万円の小遣いをやりくりする暮らしが続くのか。一方のBはこれまで散々贅沢を楽しんだくせに毎月10万円も受け取れるのか。そのうえ僕には健康保険税の請求書まで来ている。所得無いのに。Bはこれも免除。しかも医療費をいくら使っても請求は0円だなんて…。」

「もっと良いクルマが欲しかったし、食べたい物も沢山あった。これまでの努力は一体何だったんだろう。」 






(231102 制度や数値の誤りを訂正し加筆修正 要点を明確にするため少々極端な設定をしています)

2019/01/27

グレアムの『賢明なる投資家』を読む:まえがき ―本書の目的


「本書が対象としているのは投資家(investor)であって、投機家(speculator)ではない。」(p.18)

 何をするにも最初に必要なのは、はっきりした定義です。言葉の意味が明確でないと、気付かないうちに目標からそれてしまいます。グレアムはここで、投資と投機の境目とは本質的に曖昧である事と、相場の動きによってその境目を人々が変えてきた実例を挙げています。

 今の日本市場で言うならETFと米国株でしょう。いずれも仕組みとしては良い投資対象でした。しかしそれらが2013年以降の上昇相場で多くの人に認められて価格が上昇した事で、投資の魅力は確実に低下しました(無くなったかどうかは相場次第なので何とも言えませんが…)。

 さらに2017年頃から一部非上場投信の手数料がETFを下回り始めました。流動性リスクと配当再投資の二重課税が元々ない上に手数料まで安いとなれば、今後は逆に非上場投信の方が有利です。対照的に近年のETFは乱立状態で、高い信託報酬や低い流動性という問題を抱えた銘柄が多くなっています(流動性が低いと、見えない売り買いコストが増大します)。読者の皆さんには目安として、時価総額が1,000億円未満、又は信託報酬が0.3%以上のETFは避ける事をお勧めします。


引用は 『賢明なる投資家』より 前後1行開けの「」で示した


















2019/01/16

『若者奴隷時代』 アップデート2017



国立社会保障・人口問題研究所
http://www.ipss.go.jp/ss-cost/j/fsss-h27/fsss_h27.asp

のデータより作成。

単位:%






1970年から徐々に増加してきた社会保障給付費は、2010年頃をピークに横ばいになりました。ただし、増加しなくなっただけで、減少はしていません。依然として過去最高水準です。大部分は高齢者の医療費と年金です。

参考までに、マンガ『若者奴隷時代』の初版発行は2010年です。





















2018/11/30

利己的に財産を守る事が、間接的に周囲の人を守る事になる不思議


駅前一等地の、役場後援のカフェはいつもガラガラなのに、倒産しません。

我々は、どこかの国の国民です。その我々の財産は、所属する国の民間資本なので、国民一人一人が堅実に財産を運用出来るかどうかは、国の財産の運命に影響します。

失敗には、取り返しのつかないものがあります。19世紀の、まだ電気の来ていない町。その町にたった一つの発電機を壊してしまったら、もう電気が使えないのです。町の全員が。

発電機の持ち主が適切に管理し、点検し、長持ちさせたら町のみんなが電気を使えて、豊かに暮らせるのです。

現代社会は巨大かつ複雑なので、「損失」や「投資の失敗」を軽く考えがちです。「採算度外視」や「公共施設は無料」を、まるで良い事みたいに言う人も居ます。しかし資源には、どんなに豊かな時代でも限りがあります。どれだけ有効に使えたか(すなわちROE)は、ジワジワと、しかし強力に我々の未来を規定するのです。



















2018/11/26

私は予想をしない


 GAFAの下落は、爽快でした。GAFAの業績と株価が上昇した事は、私にとって二重の苦しみでした。サービスの価値を理解出来ない企業が儲かり、その株主も儲かったからです。11/2時点での、私の年初来損益は -0.8%。ほぼ無傷で、相対パフォーマンスがグイグイ伸びています。嫌いな銘柄が墜落して自分は助かる。これは、残念ながら気分の良いものです(私の好きな人もGAFAを買って損しているので、余計にGAFAは嫌いです)。

 バフェット太郎さんを始め、米国株の未来に悲観的な予測が目立ち始めました。私は日米同盟を重視しますが、FBとMSFTとAAPLには「くたばって」欲しいです。FBは効用が理解出来ません。MSFTは独占的立場を利用して、ソフトウェアを割高に売りつけています。AAPLは高品質だそうですが、製品価格が割高過ぎます。

 ただし、「くたばる」とも「くたばらない」とも、予測しません。予測しないように全力を尽くします。人は無意識のうちに予測をし、バイアスを形成するものだからです。「ヨッシャ!くたばれ!」とか思っていると、繁栄しちゃたりするものです(思っているけど)。

例:FB
2018年 高値 218.6
2018年 安値 126.9 (11/26時点 42%の下落)